CTとは、X線を利用して体内の状態を断面像として描写する検査です。
X線管が、X線を出しながら体を一周し、それを検出器で読み取り人体を輪切りにしたような断面画像や、立体的な画像を得ることができます。
簡単に原理を説明すると、X線は体の内部を透過しますが、組織や臓器によって透過のしやすさは異なります。CTはその差をデータとして集め、コンピュータで処理することによって体の内部を画像化しています。
MRI検査との大きな違いは、撮影原理です。CTは上で記したようにX線を使って撮影します。それに対してMRIは磁場と電波を利用し、体に含まれている水素原子から発生する弱い信号を受信して画像化しています。
それぞれの特徴を簡単に表にしました。
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CT |
MRI |
時間 |
比較的短い (数分~10分程度) |
比較的長い (20分~1時間程度) |
長所 |
・空間分解能が高い(細かなものまで見える) ・広範囲を短時間で撮影できる ・骨、肺の内部構造の描出が良好 |
・組織分解能が高い(組織や病変とのコントラストが明瞭に。区別がつきやすくなる) ・放射線による被ばくがない ・軟部組織構造の描出に優れている(筋、靭帯、半月板など) |
短所 |
・放射線による被ばくがある ・MRIより軟部組織がわかりにくい ・骨によるアーチファクト(画像の乱れ)が出やすい |
・装置が狭いので閉所恐怖症の人にはつらい ・音が大きい ・磁場が発生しているので体内に金属(ペースメーカーや人工関節)、タトゥー、アートメイクなどがある場合、検査できないことがある ・空気が多い部位(肺など)はわかりにくい |
撮影する部位、検査目的によって被ばく量は異なりますが、当院では一回のCT検査で被ばくする放射線量はおおむね5~15mSvです。
年に複数回検査を受けられる方もいますが、一回の検査で受けた放射線による細胞のダメージは通常数日の間に修復されると知られています。極端な短い期間に何度も検査を受けない限り、細胞の損傷が残り、がんリスクが大きくなるということはきわめて低いです。
医師が検査を行うのは、患者様の健康を総合的に考え検査結果をもとに医師が適切な医療を行うことで、被ばくの影響よりもがんを発見したりがんの進行度や広がり、治療の効果を確認するメリットの方が大きくなると考えられているからです。
造影CTとは、造影剤という特殊な薬を使って体内のより細かな情報を取得する検査になります。シリンジ(専用の注射器)から造影剤を静脈に注入し体内に循環させた状態で撮影します。血管、臓器などにより取り込む量や時間差があるので病変によっては造影剤を使用して初めて発見できるものもあります。
作用としては、注入後に体が熱くなるような感覚がありますがこれは浸透圧の影響によるものなので正常な反応です。副作用として軽度なもので、せき・くしゃみ・吐き気・頭痛・かゆみ・などがあります。重度なもので、ショック・意識消失などが起こる可能性があります。割合としては、軽度なもので100人に3~5人程度、重度なもので4000人に1人と言われています。
当院では造影剤を注入する際、何か異変を感じた時に迅速に対応できるよう横に看護師がついていますのでご安心ください。
検査に不安や気になる事があったり、心配な場合は医師や担当技師に気軽に相談してください。
患者様の不安、心配を少しでも軽減できるように説明させていただきます。
放射線室 中谷