当センターでは患者様個々の病状とご要望に沿った治療計画を策定し、低侵襲で精度の高い手術と温かな看護・リハビリテーションを実施することにより、満足度の高い医療を提供して参ります。
満を持して2025年2月より関節外科・人工関節センターが発足する運びとなりました。樫本理事長・院長はじめとして、他科の先生方、スタッフの皆様、病院事務の方々に厚くお礼申し上げます。
本センター設置の目的は、ひとえに地域の皆様に「質の良い関節外科医療」を届けることです。しかし、これを実現するには一人の外科医の力では不可能で、院内スタッフ間の連携が欠かせません。センターが意味あるものとして上手く機能するにはこの観点が非常に重要と考えています。
さらに、センターの発展には患者様のご協力が是非とも必要です。つまり、患者様からの適切なフィードバックがあって、初めて医療技術は進歩するからです。
当センターが今後とも十分に機能し、地域に貢献できますよう、院内外の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
センター長プロフィール
1956(昭和31)年大阪市東住吉区生まれ、小学生時代の5年間を東京渋谷で過ごす。そのため「大阪弁」がなまっている。京都大学勤務時代に人工関節の研究を開始し、米国へ留学。近畿大学で脛骨(すねの骨)の前後方向を示す「Akagi line」の開発に成功、人工膝関節の成績向上に大きく貢献し世界的に有名。人工関節に関する論文多数。趣味は、読書、ゴルフ、庭仕事。患者さんには「癒し系」と言われている。
リサーチマップ(研究者を探すより経歴・論文など)
時事メディカル>ドクターズガイド>変形性膝関節症>赤木將男医師
https://medical.jiji.com/doctor/2053
ザ・ドクターインタビューサイト
https://kashimoto.or.jp/interviews/docter06.html
人工関節手術の目的は、高齢な方を歩けるようにすることから、仕事やスポーツ活動(ゴルフ、テニスなど)への復帰など、比較的若い方の生活の質を良くすることへと広がっています。つまり、スポーツや趣味を楽しむために手術をうける方も増えているのです。これはインプラントの性能と手術技術の進歩により、人工関節の耐久性と機能が改善されたためです。我々はこれまで研究活動を通じて、より良い人工関節治療を追求してきました。さらに当院は民間病院としてはいち早く手術ロボットを導入し、これまでに得た知見や技術を実際に手術ロボットを通じて提供できるようになりました。関節の痛みのためにスポーツや旅行をあきらめることはありません。
一方で痛む膝のすべてを手術するわけではありません。痛みが強いからといって変形の少ない膝に人工関節手術をしても、良くはなりにくいといった報告もあります。まずは痛みの原因が何かを考え、そこから痛みや変形の程度、年齢、生活環境を評価し、本当に手術が必要かどうかを判断します。実際に日常生活における注意点や筋力強化を指導するだけで良くなる人もいます。まずは気軽にご相談いただければと思います。
特別顧問プロフィール
昭和43年大阪市生まれ。平成6年に近畿大学を卒業し、平成15年から膝関節の研究や手術を開始し、平成25年の米国留学では人工関節の動態解析(膝関節の動き)を研究した。過去20年間に2000件以上の人工関節手術を経験し、現在も近畿大学病院および樫本病院にて膝関節の研究および手術に従事している。趣味は釣り、犬(トイプードルとチワワ)と遊ぶこと、人工関節の勉強。
リサーチマップ(研究者を探すより経歴・論文など)
https://researchmap.jp/shigekiasa
このたび、「関節外科・人工関節センター」が誕生しました。私は骨粗しょう症・リウマチセンター長として骨やリウマチ性疾患を専門としており、このセンターを支える一員として関わらせていただきます。
「元気で100歳、110歳まで歩きたい」「趣味やスポーツを楽しみたい」ーそんな願いを叶えるために、人工関節という素晴らしい治療法があります。手術が必要な方は一部ですが、それが最良の選択となることもあります。そのためには、専門医による安全で的確な手術、そして術前・術後のケアが欠かせません。
さらに、骨が弱い方や、関節の炎症を抱えている方には、より細やかな治療が必要になります。私の役割はそんな皆さまを守り、人生が楽しくあるよう支えていくことです。
「ここなら大丈夫」 そう思っていただけるセンターを目指し、チーム一丸となって尽力します。どうぞよろしくお願いいたします。
1959(昭和34)年和歌山県有田市生まれ、小学生6年から大阪人となり、「大阪、大好き人間」です。大阪USJの年パス所持者、大阪万博3日購入、1日予約済み。
予防医療の推進を通じて今後10年で南河内地域の要介護者半減をめざし、皆さまの笑顔を守ることに全力を注ぐ樫本病院 疾病予防教育センター長の顔も持っています。
樫本病院ホームページの診療科・部門>専門外来>骨粗しょう症・リウマチ外来
https://kashimoto.or.jp/departments/osteoporosis_copy.html
骨粗しょう症・リウマチ外来 橋本 淳 先生 着任のお知らせ 案内
https://kashimoto.or.jp/news/patient/20240401_hashimoto_osteo.html
ザ・ドクターインタビューサイト
https://kashimoto.or.jp/interviews/docter08.html
赤木 將男 | センター長 |
樫本病院 整形外科常勤顧問 日本整形外科学会専門医、代議員、名誉会員 日本人工関節学会元理事、学会認定医 日本関節病学会元理事長、学会認定医 日本リウマチ学会評議員、専門医・指導医 |
樫本 秀好 | センター医師 |
樫本病院 院長・理事長 日本整形外科学会専門医 日本人工関節学会会員 |
朝田 滋貴 | センター特別顧問 |
樫本病院 整形外科非常勤医 日本整形外科学会専門医 日本人工関節学会評議員、学会認定医 |
菊山 愛一郎 | センター医師 |
樫本病院 整形外科常勤医 日本整形外科学会専門医 日本人工関節学会会員 日本リウマチ学会専門医 |
橋本 淳 | センター顧問 |
樫本病院 骨粗鬆症・リウマチセンター長 日本整形外科学会専門医、認定リウマチ医 日本骨粗鬆症学会認定医 日本リウマチ学会評議員、専門医・指導医 |
右へスライドできます→
診察室 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
3診 | 赤木 | ||||
6診 | 菊山 | 赤木 | 樫本・朝田 | 菊山 | 樫本 |
12診 | 橋本 | 橋本 | 橋本 | 橋本 |
(月曜~金曜)右へスライドできます→
初めて受診の方は、電話で外来受診予約をして頂けると、診療がスムースです
(病院代表:072-366-1818)。
また、他院からの紹介状(診療情報提供書)を持参して頂けるとありがたく思います。宜しくお願いいたします。
整形外科で扱う四肢の関節の痛みと運動障害
例:変形性膝関節症、変形性股関節症、リウマチ性関節障害、関節のスポーツ障害・損傷など
当センターでは、これらの技術を用いて精度の高い手術を実施しています。
ラーニングセンターでは、京セラ、スミス&ネヒュー、ジンマー社製人工関節の手術見学・情報交換会を実施しています。
ご希望のドクターは各社営業担当者にご相談ください。
今年度の参加者
手術見学風景
(見学の実施には患者の承諾を得ています)
山陰労災病院
大槻健朗先生
関西医大
小林史明先生
友愛医療センター
毛利正玄先生
千葉西総合病院
齊藤雅人先生
福岡記念病院
樋口健吾先生
膝や股関節の痛みは加齢によって生じるもので、ある程度仕方がない…とはいえ、痛みを我慢していても何もいいことはありません。今の状態を正しく認識して、どういう手立てをとればいいのか、ご自身が考えて選択しなくてはいけません。人工関節手術は「人が自立し、健康的で豊かな生活をするために受けるもの」と言えます。
ケガや関節リウマチなどの疾患で関節が変形し痛むことがあります。しかし、多くの場合は、加齢によって関節の軟骨がすり減って、骨への負荷が増えることによって生じます。もともと関節形状が不良であるなど、関節を傷めやすい骨の形の人が年を重ねて発症することもあります。太り過ぎも膝に負担がかかります。減量することで痛みが楽になる場合もありますが、やせていても膝が悪くなる人もいます。 軟骨には神経がありませんが、すり減る際に軟骨の破片や屑が生じ、それが刺激となって炎症を起こし(滑膜炎)、膝が腫れて水がたまったり、壊れた半月板が骨と骨の間に挟まったりして痛みが生じます。軟骨が摩耗すると骨への負担が強くなり、小さな亀裂が入って骨が潰れて変形してきます。
変形性関節症は、関節の痛みや腫れ、関節内の不快な音、こわばり感、引っかかる感じがするなどの症状が特徴で、初期には、動きはじめに痛みが出るけれど、動いていると楽になるのがふつうです。また、冷えると痛みが出る場合も多いです。でも、痛みを我慢しているうちに、だんだん動ける範囲が狭くなってきます。 痛みやこわばりなど、症状は良くなったり悪くなったりを繰り返します。湿布や注射、痛み止めなどで痛みを抑えながら5年10年、何とか生活を保っている人もたくさんいます。 しかし、いよいよ軟骨がなくなってくると、軟骨の下にある骨が傷んできます。骨にも自然の修復能力がありますが、その能力を超えてストレスがかかると骨は壊れてゆきます。動くたびに痛くてたまらなくなり、夜間痛も出てきます。骨が摩耗と陥没を繰り返しながら、関節の荷重面が潰れて、変形してしまいます。特に骨が弱い骨粗しょう症の人は、骨の変形が進みやすいです。
我慢できない痛みを取り除き、関節の機能を回復するのが人工関節置換術です。傷んだ関節の骨の表面を削り、関節の表面に似た形状の金属インプラントに入れ替えて骨を守ります。その間にポリエチレン製の人工軟骨を置きます。虫歯の治療に似ていますね。 人工関節置換術には、関節面の全てを人工のものに取り換える全置換術と、一部分だけを人工のものにする部分置換とがあります。膝の場合は部分置換が可能で、手術侵襲が小さく膝の安定度もいいので、スポーツをしたい人には、部分置換を勧めます。しかし、関節の全体が悪くなっている場合は全置換にせざるを得ません。いずれにしても変形が強く進まないうちに手術をするほうが手術時間も短く、回復も早いのは間違いありません。あまり状態が悪くなる前に、我々専門医に相談してください。
近年、人工膝関節の成績や人工関節に対する認識度が高くなってきました。痛みが取れてきれいに歩けるようになった人を見て、その良さが口コミで伝わることが多いですね。60 歳以上の人に行うというのが一つの基準になっていますが、60歳未満の方でも、仕事ができない、歩けないなど生活に支障がある場合には手術の適応があります。あくまでも患者さん本人の希望と意志が重要です。レントゲンの画像では強い変形ではなくとも、山登りやテニスがしたい、旅行に行きたいからと強く希望する人もいます。人によって膝に対する要求度が違いますから、本人の気持ちが一番重要です。ただ、手術に耐えられないような内科的な疾患をもっている場合、例えば、肝臓が悪く手術をしたら出血が止まらないだろうと思われる場合には手術が困難な場合がありますが、そのようなケースはごく稀です。たとえ骨粗しょう症の人でも、適切なインプラントを選択すれば大丈夫。 術前にスクリーニングを行なって、何か問題があればそれを治療してからにするなど、患者さんにとって安心して手術を受けられる日程を選びます。
手術の日程が決まったら、医師は患者さんそれぞれの手術計画をたてます。CTを撮り、そのデータを用いて、変形している骨に対してどういう角度で削ったらいいか、内側と外側でどのくらいの厚みの骨を切れば真っすぐに入るかなどを細かく計画します。骨の形や変形の度合いは人によって違いますから、それに最適のインプラントを合わせ込んで、膝が最もうまく機能してくれるよう手術の準備をします。そして、その計画通りに手術を行います。 手術時間は1時間半から2時間程度。患者さんにとって術後の痛みが少なく、早くリハビリテーションができるような丁寧な手術を心がけています。 人工関節置換術は骨の手術というより、骨に至るまでの皮膚、筋肉、関節包、靭帯などの軟部組織をできるだけ傷つけないように、やさしく丁寧に扱うのが基本です。手術は、人工関節置換術を多く実施している施設で、正しいトレーニングを受けてきた医師のいるところで受けることをお勧めします。
私は、正しい方向にインプラントを設置するための基準軸(脛の骨の前後軸)の設定に成功しました。20年以上も前の話ですが、イタリアのドクターが、その軸を「赤木ライン」と名付けて世界に広めてくれました。基本的な参照軸として有用で、術前計画でも手術中にも用いることができ、今では、世界的なスタンダードとなりました。この参照軸に沿って手術を行うことで術者間のばらつきも少なくなるだろうと思っています。
入院はおおよそ2-3週間。手術後にベッド上でじっとしていると、いろいろな合併症の問題が生じます。重大なのが、肺塞栓症、いわゆるエコノミークラス症候群です。それを防ぐためにも、術後2-3日目から車いすでトイレに行き、リハビリを開始、歩く訓練をします。リハビリの先生方が積極的に運動を指導してくれます. 手術直後から骨の痛みは取れますが、手術によるケガのような痛みがあります。入院中の2週間で大方の患者さんが歩けるようになりますが、ケガの痛みはゆっくりと取れてゆきます。非常に苦痛なリハビリを乗り越えて努力しないと歩けるようにならない、なんていうことはありません。しかし、手術前の歩行能力が術後のリハビリに与える影響は大きいです。どうせ手術を受けるのなら、歩行能力が著しく低下しないうちに受けてもらった方が医師も楽、患者さんも楽、看護師さんもリハビリの技師さんも楽、手術も安全にできると言えます。あまり長く放置しない、我慢しすぎないのも大切です。
退院する時には、杖をついて歩いて帰ります。手術で大ケガをした後ですから、しばらくは慎重に転ばないように気をつけてください。退院後、2-3週間で外来受診してもらいますが、その時に杖をついてくる患者さんは半分くらいです。診察をして、問題がなければ、「何でもやってください」「どんどん歩いてください」「どんどん使ってください」と指導します。希望される方には外来でのリハビリを継続します。一方で、普通の生活をしていくことがリハビリになります。ほとんどの場合に正座はできませんが、基本的にしてはいけない動きではありません。 もしまだ関節が硬めだった場合には、風呂に入って温めてストレッチを続けるように指導しています。そのあとは3か月、6か月、その後は1年毎の定期検診を受けてください。
実際に脚の痛みがとれて運動量が増加すると、体重が減ったり、血糖値が下がったりすることはよく経験されます。むしろ、内科の先生から膝の痛みで歩けないので運動指導ができない、手術をしてくれ、と依頼される場合もあります。動物は歩けなくなると生命の危機に曝されます。人は歩けなくなると健康の危機に晒されます。歩かなくなると、全ての内臓の機能は衰え、脳の認知機能が低下することが科学的に示されています。最近、足腰の痛みで歩くのが億劫になり家に引きこもりがちだ、と思われたら、整形外科を受診しましょう。
0.5mm、0.5度の精度で人工関節を設置可能、新たな手術技術を導入
患者さんのなかにはそうおっしゃる方がおられます。
ロボットのなかには ①医師が手術を行うがそれを補助するのもの、②ロボットが手術するものがあり、日本に導入されている人工関節に関わるロボットは、全て前者の手術支援ロボットで、あくまでも手術は医師が行います。
さらに、当センター長の赤木は2020年4月に日本で最初にロボットを導入し近畿大学病院で手術を開始しました。
また樫本病院においては民間病院としては早期の2021年12月からロボット支援による手術を開始しています。このように、我々にはロボット支援による手術の経験と実績がありますので心配はありません。
その通りですが、約20年前に現れたナビゲーションシステムも、ロボットと原理は同じであり、手術は正確でした。一方で良い人工関節を作るためには、骨を切る際の正確性だけではなく、関節の靭帯(じんたい)をほどよい緊張にすることも大事です。最新のロボット支援手術では、昔のナビゲーションではできなかったこの靭帯の緊張がわかるようになり、さらにこれらの両立もできるようになりました。そのため昔のナビゲーションでは人工関節の機能までは良くなりませんでしたが#1、ロボット支援手術では関節の機能が良くなったとの報告が多数なされました#2。実際、我々も樫本病院のロボット支援手術のよい成績を報告しております(2024年日本人工関節学会)。このことからロボットはヒトの技術を上回る可能性があり、今後ロボット支援は人工関節手術において大変重要なものになると思われます。
#1 Burnett RS, et al. Clin Orthop Relat Res. 2013.
#2 Batailler C, et al. a systematic review. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2021
ROSA は、RObotic Surgical Assistantの略で、人工膝関節置換術の際に執刀医のサポートを行う手術支援ロボットです。
当院では Zimmer Biomet 社(ジンマーバイオメット社)のROSA Kneeシステムを採用していますが、六軸多関節ロボットアームと光学カメラユニットに分かれており、膝の位置を正確に把握し、人工膝関節を置換するための骨切り量を0.5mm単位、0.5°単位といった細かい微調整での設定が可能となります。
変形性膝関節症の代表的な手術例である人工関節置換術は、変形した膝関節の骨に人工関節を設置しますが、骨を削り人工関節を設置するための骨を削る量や角度は、医師の技術や経験、熟練度や感覚によることが大きい部分がありました。
当院では特別な訓練を受け認定資格を得た整形外科医により、手術支援ロボット(ROSA Kneeシステム)を使用する事により、医師の熟練度に加え、ロボットによる手術中にも細かい微調整や修正を加えられるため、良好な手術を期待することができます。
今までは、CT検査にて骨盤から足先までの膨大な画像データから手術シミュレーションを起こし手術を行ってきましたが、ROSA Kneeシステムでは、単純X線による2次元画像から3次元的に骨モデルを作成する Zimmer Biomet の X-Atlas™ 技術を用いて術前計画を行うので、CT検査による大きな被ばくの低減と患者様のコスト負担を下げることができたこと。また、患者個々の解剖に応じたカスタムプランの作成が可能となりました。