
みなさん、ポリファーマシーという言葉をご存知ですか?
ポリファーマシーとは、多種類の薬の服用により、予期せぬ有害な事象が起こる可能性がある状態のことを現わす言葉です。
「poly(複数)」と「pharmacy(調剤)」を合わせてつくられた言葉です。
特に高齢になると、病気や体の不調が重なり、複数の診療科を受診することが多くなるため、ポリファーマシーが起こりやすいと考えられています。

① 健康への悪影響や生活の質の低下
服用する薬の種類が増えればその量や飲み合わせによって、重大な予期せぬ有害な事象が発生するリスクが高くなってしまいます。
その症状は、軽いめまいやふらつきから肝機能障害や低血糖などさまざまです。
めまいなど一見軽そうに見える症状でも、それにより転倒・骨折をし、その後の生活の質に影響してしまうケースもあります。
また、多種類の薬を服用することで、飲み忘れや飲み間違いもしやすくなり、薬を正しく服用できないことによる健康被害にもつながってしまうでしょう。


高齢化社会において、医療費の増大は大きな社会問題のひとつです。
医療費がますます増大していくと、患者さまの負担割合や国民健康保険料の引き上げが検討される懸念もあります。
患者さまご自身やご家族の皆さまが治療や薬の内容・管理に関心を持ち、積極的に関わることでポリファーマシーが起こるリスクを減らすことができます。ご自身やご家族でできるポリファーマシー対策のポイントをいくつかご紹介します。

複数の医療機関を受診する際や市販薬を購入する際には、お薬手帳を必ず提示しましょう。
お薬手帳にすべての薬の情報をまとめておくことで、医師や薬剤師が重複処方や良くない薬の飲み合わせがないかを確認しやすくなります。
その際、お薬手帳は1冊にまとめておくことが大切です。
一つの薬局でまとめて薬を受け取ることで、服薬状況を一元的に管理してもらえます。
かかりつけ薬剤師に相談して、副作用の可能性や薬の飲み合わせのチェック、不要な薬が増えていないかの確認をしてもらいましょう。

患者さまご自身だけで薬の管理を続けることが難しい場合もあります。
ご家族みんなでお薬手帳を確認したり、診察の際にご家族が付き添ったりすることで、服用状況を把握し、薬の飲み忘れや誤った薬の服用を防ぐことができます。
薬剤管理室 担当