呼吸器内科は、肺や気管支などの呼吸器系の疾患を治療する内科の専門診療科です。呼吸器内科の診療する疾患は、通常の風邪やインフルエンザなどの感染症から、肺がんなどの悪性腫瘍、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といった慢性的で命に関わる病気も専門的に診療します。
呼吸器内科が診療する主な疾患
加えて、近年では睡眠時無呼吸症候群の診察・治療を行うなど幅広い疾患に対応しています。
内科の中でも呼吸器内科専門医は少なく、地域格差も大きいといわれてます。どこにいても必要な患者様に専門的な呼吸器診療を届けられようになることが課題です。
人にかかわることが好きで自然と内科の道を選んでいました。特に呼吸器内科は様々な分野の疾患と関わることが多く、また全身を診ることのできる内科というのも魅力的に感じた理由の一つです。
大学病院では重症な方や状態の悪い患者さんを診療することも多く、もっと早い段階から専門的な診療ができていればここまで重症になることもなかったのではないかと悔やまれる患者さんにも関わることがあり、呼吸器内科医が足りていないことを痛感することもありました。また、新型コロナウィルス感染症の流行で人工呼吸管理を要する方が増えたときには、特に呼吸器内科の必要性を実感しました。
樫本病院で地域医療に携わるようになり、地域に根差した病院にも呼吸器内科の専門的な診療を必要とする患者さんが多いということにも気づかされました。
中には「今までかかった病院ではあなたの病気は診ることができないと言われてとても不安に感じていたけど、ここに通院できるようになり安心して生活できるようになった」と言ってくださる患者さんもいらっしゃるので、とてもやりがいを感じます。
①禁煙
肺を健康に保つ上で最も大切なのが禁煙です。喫煙は肺がんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの肺疾患の最大の危険因子です。
近年はタバコをやめて電子タバコに変える方も増えていますが、たばこ葉を使用しない電子タバコであっても、ニコチンやタールが含まれる製品や、加熱によって有害物質を発生させる製品があるため、健康への影響が否定できません。喫煙以外にも大気汚染物質など、肺への有害物質の暴露を避けることが最も重要です。
②感染症の予防
手洗いでの手指衛生はもちろんですが、高齢になると増えてくる誤嚥性肺炎の予防には口腔ケアがとても大切です。
また、インフルエンザや肺炎球菌ワクチンなどの摂取は、呼吸器感染症から身を守る効果的な方法です。近年ではRSウィルスといった慢性呼吸器疾患で重症化しやすいウィルスに対する新たなワクチンなどもできており、ぜひ樫本病院にご相談ください。
③適度な運動、バランスのとれた食生活
体力を維持し、免疫力を落とさないための規則正しい生活は、呼吸器疾患の予防にも大切なことです。
特に慢性呼吸器疾患を抱える方では息切れの改善のために呼吸器リハビリテーションを行うことが多いですが、その際に呼吸筋だけでなく、下肢の筋力をつけることが息切れの改善に効果的とされています。
呼吸器リハビリテーションは専門医の指導のもと、呼吸筋を鍛えるトレーニングや呼吸法の練習を行うことで、肺の機能を維持・改善することができ、樫本病院でも積極的に行っています。
④検診
定期的な健康診断を受け、肺の健康状態をチェックすることが大切です。定期健診・特定検診・肺がん検診などの利用もお勧めします。
特に咳、痰、息切れなどの症状がある場合は、速やかに専門医を受けましょう。
肺がん検診は喫煙歴のない方にも大切で、肺がん全体の10~25%が非喫煙者で発生しており、特にアジア系女性では50%以上が非喫煙者と言われています。ぜひ1年に1回は肺がん検診を受診してください。
健診:健康診断の略称 体全体の健康状態を確認し、病気の予防や早期発見を目的として総合的な検査を受けること「定期健診・特定検診・学校検診など」
検診:特定の病気(例:がん、糖尿病、肝炎ウィルスなど)を早期発見することに特化した検査「がん検診 など」
受診される方の不安を取り除き、呼吸器疾患を抱える患者さんが自分らしく、健康的な生活が続けていけるよう患者さん目線でサポートすること、を常に心がけています。
呼吸器疾患は長くその病気と関わっていくことが多いため、適切な情報をお伝えし、それを普段の生活にも役立てていただけることが大切だと考えています。
現在、私は月曜日・木曜日・金曜日の午前に内科診療していますので呼吸器系疾患でお困りの方は樫本病院へご来院ください。
内科・呼吸器内科 綿谷 奈々瀬